山口市にお住まいの方、何年も音信不通の家族や親族よりも、普段から日常の世話をしてくれた人に自分の遺産を遺したいと考える人がいても不思議ではありません。実際には、そんな悲しい家族関係ばかりではありませんが、親戚付き合いが希薄になってしまった今のような時代では、心のよりどころを身内以外の誰かに求めるのはごく自然なことですね。このように身内との関係が疎遠になってしまったひとりの住まいの方が、自分の相続人として第三者を指定したいというケースが増加しています。私が訪問させていただいたひとりの住まいの方のうち、約二割の方が、法定相続人はいるけれど身内に相続させるつもりはなく、自分の希望する第三者や施設にすべて託したいとおっしゃっていました。このように遺言者の遺言によって指定していた場合などは、他人に財産を残すことができますが、この場合は相続ではなく「遺贈する」ということになります。しかし大半の方が、遺言者を書けばその通りになると思い込んでいて、私が話を聞き、「その通りにはいかないですよ」とアドバイスをすると、驚かれることもしばしばです。確かに、遺言者の自分の遺言でも遺言内容は有効だとお話しさせていただきましたが、先にも書きましたように公正証書遺言だけでなく自筆証書遺言の場合は、スムーズにいかないケースも多いということや、相続人には「遺留分」があることや、日時が入っていないなど不備だらけの自筆証明書をお持ちの方が多いのが実情です。
相続手続きを行うに際しては、遺産分割協議をまずはじめに行い、その結果に基づいて相続の分配が行われることになります。 相続人が複数存在する場合は、遺言内容に不満があったり、相続財産の分配に差があったりする場合はもめ事が起こる可能性がありますので、相続人全員の意見がまとまるように話し合いが必要となるのです。 実際に全員が集まって会議をしなくてはいけないわけではありませんが、それぞれが納得して後になって問題とならないように、書面への実印での署名捺印を行うことが必要です。 この遺産分割協議が成立し、第三者から見ても問題がないと思えるものでないと、相続登記や不動産の売却だけでなく、現金の分配もできなくなります。 しかし必ずしも遺産分割協議が必要というわけではありません。 正式な遺言書が存在しており、その遺言内容に相続人が従う場合など、相続人全員の合意があれば、必ずしも遺言による指定相続分や法定相続分に従う必要はありません。また相続人が自分ひとりの場合は、協議する必要も相手もいませんので当然不要となります。
まず、その本人が法定相続人かどうかその場では確認できないことや、相続人が他にいるかどうかの確認もできません。そして相続人全員が同意しているかどうかも確認できないとなれば、銀行は特定の人にお金を振出すわけにはいかないのです。 万が一、相続問題で争いが起こった時に、銀行も他の遺族から「なぜ勝手にお金を渡したんだ!」と言われてしまうと余計なもめ事に巻き込まれるかもしれませんからね。 仮にクレジットカードの暗証番号をあらかじめ知っていたとしても、また、通帳と印鑑がわかっていたとしても、むやみに現金を引き出したりすると、後で他の相続人が裁判所に申し立てをした場合には、返金を求める判決が下ることがありますので、注意が必要です。